6月から渋谷と代官山の間にあるLOKO GALLERYというところで個展をする
昨年末くらいからおずおずと制作を始めていたのだけれど 暮らしがもう完全っに閉じていて
というのも 家(暮らし)と制作場所が同じところにあるもんだから
やること 見るもの 毎日同じ それが半年も続けば インプットとアウトプットのバランス崩れ
やはり視野は狭くなる 自分の頭の中のひらめきは大切にしつつも やっぱり自分は
外と内の境界面に皮膚くらいの薄さでかろうじて存在しているんだから
両方の刺激や経験がないと もろくなる
そういう実感はあるものの 引きこもれば引きこもるほど出ることは億劫になるし腰は重くなる
暮らし 自体はそんなに壮大な冒険でなくても良いんだけれど
絵を描こう と 良い絵を描きたい という感覚の中には それだけではどうしても至れない自分の不甲斐なさが付いて回る 自分を自分で操縦していくことが付いて回る
だから外に飛び出した! ポーン!!!!
LOKO GALLERYには素敵かつ住み良さそうなレジデンススペースがある
気候も穏やかになってきた3月頭 約一週間 家出をして渋谷に住んでみた
その 自分にとっては壮大で 発見だらけで 大興奮の旅
人から見れば小さすぎる旅
小学生が一日中公園の中で想像と限られた遊具の中 真面目に行う毎日の遊びみたいな旅
その後記メモ
主に写真
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渋谷は20代の頃から今まで 一番馴染みのある都会だと思う
買い物やなんやも よく渋谷に来ているし 予備校生の頃は 池袋まで朝向かう途中 あー今日はサボりたい と不意に思っては早朝の渋谷のゴミゴミしたところでぼーっとしていた記憶もある
メインストリートは年々同じような店になり 昔ドキドキしながら通った裏道もチェーン店多し
そんな最近の印象にもかかわらず この日は違った
ギャラリーに夕方到着し 挨拶やら 展示やらみて 部屋に落ち着いた後
夜 渋谷方面に繰り出す私は 台湾とか中国とか アジアに旅行にきた最初の夜みたいなひそやかなドキドキ感
土曜の夜で 歩く人皆 浮かれているような感じがして でも多分私が浮かれているんだろうけれど この日は 一人でビールを飲める店に入るというミッションを自分に課して 入れそうな店を探すことにした
よく通る道でも 目的が違うだけで 見つけるものも見えかたも変わる
この夜は 観光客のあの感じ 地に足がついてなく 生活 から切り離された時間の中を泳ぐような
ここはただの渋谷だのに
旅なので事前に渋谷の様々なスポットや店を自分なりにリサーチして来た
それらを巡るのも今回のミッション
最終目的(絵や制作にとって何かを得る)に向かって一直線に行かず
なるべく頭を空っぽにして寄り道に集中すること
色んな寄り道の仕方 ものとの出会いかたを工夫して街を歩く
渋谷にはなかなか展望スポットがない 後々気付いたのは 渋谷は谷底だから
唯一普通にみれるスポットはヒカリエの11階
観光客の気持ちでスクランブル交差点を 漫然とみる
人間関係 というカフェバー ここは老舗だった でも今まで気付いてなかった!
新宿のベルクみたいな場所 ビールミッション達成!
散歩散歩 渋谷駅はずっと大工事中 基本つまらない 薄暗い路地とか 消えてく
でも 工事中ならではの変な景色もある 歩道橋がちょん切れていて 迷路っぽいとか
1日目は夜散歩 就寝
2日目 最高いい天気 春
朝から繰り出す
立ち食いそばで朝ごはん食べる 朝の渋谷はゴミとかいっぱい落ちてて汚い
開店前の店におじさんの行列 なんだ たまに見るけど
ホテル街から出てくる若者 渋谷には若い人が似合う 街と溶けてる
朝早くてまだ店空いてない どうしよっかなあ と 思い出し
大学生の頃割とよく来ていた WINS渋谷に行く
1レース目ちょうど始まるので 直感集中して 11番の馬に目がいく 買う
こいこい
来たあ! でも私はここですごく悔やんでいる実際
11番の馬を信じて買えばいいものを 一番人気の15番に浮気して3連単をつまみ食いしているおかげで負けている
11番の馬を信じていれば当たっていたのに〜〜〜〜〜!!!!
こういう自分の中の弱さや揺れはギャンブルでは一生後悔する この時も30分くらいくよくよした
小さすぎる冒険が始まった感
WINS渋谷周辺も小ぎれいになっていて 少し物足りない
でもまあ 1500円くらいは儲かったので 渋谷に買い物へ
昼の渋谷はつまらなかった 買うべきものを買い物したら 飽きてしまった
そこで ギャラリーの田中くんに教えてもらったいくつかのご飯屋さんに向かうことに それは代官山の方
意外と知らないのは代官山 渋谷から歩いて行くと丘に上がる 谷へ沈む
起伏多い 高い 低い の繰り返し その度に景色変わる
ここで非常に色んな発見あり でももう割愛
代官山はすごかった 綺麗な人しかいなかった 渋谷から来た私は その雰囲気の違いに目が覚める
西郷山公園 教えてもらって初めていく ここの見晴らしがよく
初めての開放感 渋谷って随分谷底にあるんだなあ と改めて気づく
丘の上は気持ちのよい風
犬
犬犬
急斜面を下ると中目黒 この地理関係に初めて気づき非常に興奮
中目黒は ミヅマアートギャラリー インターンしていた頃 大学出てすぐくらいの 様々が詰まっている場所
この上に代官山が位置しているとは
それぞれの場所は知っていても 歩いてわかることの感激よ
少しの高低差で変わる景色 心
一人で何時間も歩くと 過去がたくさん出て来た
これまでの美しいものが これからの肯定の基準となって来たこと
色んな高さと場所から 自分の足で確かめに行く
この日一日で 寄り道は 様々の核心に変わる
夕方に再び中目黒から代官山に戻り 夕焼けを見る
桃の花満開
色んな場所を歩いて 入り組んだ境目を渡る その瞬間にしか実感できない 現れない微妙な感覚がある 低いところから高いところへ
ここがうまく言葉にできない
絵に成るかもしれないけれど
西郷山公園で 馴染み深い夕焼けと それに照らされる街の黄昏と
見ていたら 不意に 今この瞬間 谷の底(渋谷)ではどのような夕暮れが???とハッとする
17時半 太陽がマッチの火みたいになってしまえば もう街はただ暗く成る
その前の 今の様子 見なくては!!
私は走りました
一日散歩した中で獲得した地理感覚 道が入り組んでいるこの辺りを最短時間でヒカリエの11階までいく方法
この 太陽よ まだ間に合ってくれ、 と思いながら走った時間
このあたりの景色は全て 私に関係のあるものに変わった
迷路のような工事中の渋谷駅も 谷と丘の地形も ランドマークも
間に合った
沈むまで 見て
まだ大きく光を放つ太陽に背を向けて 谷の底に目を向ける光が
蛍みたいに小さな一つ一つの光が 盲目だった けど 震えて光っていた
その一つ一つに 熱量があり 太陽のような大きな調和にかなわないのを
どう思ってか 背を向けている
低い方へと流れ着くものが だんだん 夜になり 勢いを増すけれど
それら全部 光と影と物質にして 絵にしたいと思った
全部見た後 頭がぼんやりしていたし歩きすぎて疲れて眠かったけど
プラネタリウムがあるということで 半分寝る気持ちで行って見る
満天の星見たら なんか良かった
半分寝ながら 近所の銭湯へ 場末感半端なかった でもお湯に浸かるの大事
家までの帰り道 昨日とは何もかも違うような気分
三日目 春の嵐
色々気になって 代官山の蔦屋に行き 本を読む
改めて このあたりの土地のこと 実感と感覚と すり合わせる
とかく風と雨 傘がばっ て逆さまに成るのをこらえる こらえるためにもはや自分の体は濡れている
この日の散歩は前日と打って変わって 怖い 怖いビルや やばい道 風の音
思わず立ち飲み屋に滑り込む 人の温かな気配 谷底の安心感
傘女
四日目
カメラさんに教えてもらった 名曲喫茶に行く
ここは本当に名店です! 変わりゆくぺらぺらの街の中で いい意味で留まっている 相当のエネルギー量で
スピーカーに向かって座る クラシックが爆音で
ベートーベンの顔が!!!
五日目
何だかもう 街を歩くだけで懐かしい匂いを感じる
少し絵を描く 描けそう 描けるかな
旅は終盤
ずっと一人でご飯を食べていたが この日は渋谷1良い立ち飲み屋へ
遊びに来た加茂くんと行く
生ビールうまい
もう 自分の庭みたいな顔して歩く
そろそろ帰り時
六日目
渋谷から 武蔵新田のプールの監視バイトに半年ぶりに出勤
色々面白い
何が懐かしく 何が日常で 何が新しいのかわからなく成る
プールの水面は相変わらず美しい 一緒に働く20代の子らも美しい
常連のお客さんからビールとチョコレートもらう 私の絵を買いたい という申し出を受ける 驚き ありがたみ
七日目 帰宅
生活やら渋谷やらご飯やらビールやら人間やら たくさんのものに出会い直して
一週間 案の定 絵にしないとどうにもできない思いや感覚だけが残る
これを絵にできるかは別として とにかくやって見る
春だし みなぎってはいる
ここから六月までは 長距離ランナーばりの生活で ゴールまで
移動生活でも 定住生活でも いろんん環境が変わっても変わらなくても
ある場所 感覚に自分を固定しない しないで済むようなことを心がける
バランスを取り続けることを自分のバランスにして行くのが
絵を描くために良いみたい 私には
それがよくわかって良かったなあ
さあ、やろうやろう